理事長の思い

みやかわ たかゆき(宮川 尚之)私の正直な気持ちを書かせて頂きます。

ルタンはうすの歯科診療は、はっきり言って一般の歯科医院で行うものとは大きく違う所がたくさん有ります。したがって一般的な今まで世間の人が思っているような歯科医院に対する常識でルタンはうすの診療を量ろうとすると、理解できない所がたくさんあると思います。

その大きなもの2つは「定期健診」と「原則初診時は治療しない」ことだと思います。
ルタンはうすは、私の「思い」が結晶化した歯科医院です。

長らく小児歯科の臨床をやっていると、どんなに一生懸命むし歯を治しても、その原因が無くならない限り、必ず再発をしてくることがわかっています。そこで私はこの原因を治療する診療をする事にしたのです。

むし歯の原因は大きく分けると3つあります。

一つはむし歯を作る能力の高いむし歯菌が口の中にいる事つまり菌の原因、2つ目は歯が未成熟であったり、唾液のむし歯予防能力が弱かったりする事、すなわち生体の原因、3つ目は砂糖の取り方を間違えている事すなわち食事の原因です。

この3つの原因はいわゆる「歯科治療」では解消されません。歯を削って詰めたり、神経の処置をしたりしても、むし歯菌の力は弱まりませんし、歯の質はかえって弱くなりますし、砂糖の摂り方が変わるわけでもありません。

病気の基本的な成り立ちとして原因がそこにある限りは、病気は必ず再発するのです。どんなに一生懸命時間と費用をかけ、医療リスクを冒して治療しても、原因がある限り再発しますし、新しく生えて来た永久歯も口の中にむし歯の原因がある限り、新たなむし歯を作ります。

歯科医師が行う歯の治療は「急性症状を無くし、進行する病変部を取り除いて、失われた咀嚼機能を回復し、正常な発育が出来る条件を整える」に過ぎません。私はこれを解決するために、本来のむし歯治療をしたいために大学病院をやめて、ルタンはうすを作りました。

では本来のむし歯治療とはなにか?

それは原因を無くしていく事から始めます。むし歯菌に対しては、病原性自体を弱める方法はまだ臨床的に実用化されていません。でも、適切なブラッシングをする事によって、菌の数を減らす事は出来ます。隣接面(歯と歯の間)や溝の部分といったむし歯になりやすい場所の歯垢を完全に取り除く事はできません。

しかし歯と歯ぐきの境目のむし歯は防ぐことができます。歯の質に対してはフッ化物を適切に利用する事でそれを強化することができます。

また唾液の量はしっかりと咀嚼する事で分泌を促す事ができます。

砂糖の摂り方は、むし歯になりやすい食事を避ける、代表的な私がよく使うフレーズに「アメガムジュースをとらない」「飲んでいいのは牛乳・お茶・麦茶・ウーロン茶・水」というのがあります。いわゆるダイエットコントロールです。

これを、「定期健診」を通じて、歯科衛生士とともに普段の生活の中で実践し、ゆっくりと時間をかけて「本来の治療」を行っていくのです。

ですから私は「歯科医師はむし歯を治す事はできない。治すことができるのは歯科衛生士と患者さん自身です」と言っています。

すぐ治す事ができないのはむし歯という病気は1日2日の事で起こる病気ではないからです。

数ヶ月もしくは数年にわたる生活習慣の結果として出来るものです。ですからそれを改善していくにはそれと同等かもしくはそれ以上の時間がかかると考えているからです。

私たちはなかなかブラッシングが出来ない子どもさん、アメやジュースをやめない保護者の方を、そうだからといって叱責したり、きつく注意したりはしません。それだけ長い時間をかけて形成された生活習慣を変える事が難しい事を知っているからです。

でも私たちは定期健診を通じて地道な努力ではありますが子ども達の健康づくりに少しでも役立つ「今出来る事」をするために指導や予防処置をしています。例えば4歳のお子さんのむし歯治療が終わったとします。永久歯が生え始める6歳まで2年間あります。この2年間でお口の中の環境を整え、むし歯にならない環境を作り、いい環境に永久歯を迎えるための準備をします。

では6歳でむし歯治療が終わった子はどうすればいいの?確かに急激にお口の中の環境は変わりません。

でも予防処置のシーラントがあります。確かに生えたばかりの永久歯はむし歯になりやすいのですが、全ての部位がむし歯になりやすいわけではありません。

溝の部分がなりやすいのです。そこをシーラントしてしまえば少なくとも3年間は猶予ができます。隣接面(歯と歯の間)がむし歯になりやすい時期を迎えるまでにお口の環境を整えれば良いのです。

こうして私たちは「本来のむし歯治療」を行っているのです。定期健診では「あれ?何をしに来たの?いつも通り大した事しなかったわ」と思われるかもしれません。

事実時期によっては染め出して、ブラッシングして先生がちょっと見てフッ化物を塗って終わり、という事もあるでしょう。

でもそれこそが理想なのです。毎回定期健診の時に問題点が見つかって詳しい指導を受けたり、処置があったりするのはまだ問題が解決していないからなのです。

問題が解決に近づくほど、定期健診の時には「何も無い・いつもと変わらない」になっていきます。本当にそうなったとき、私たちはみなさんに次の問いかけをします。

「将来どのような状態になりたいですか?」この質問は皆さんが初めてルタンはうすにいらっしゃった時にする質問です。

私たちは皆さんの口の中の問題が解決した時、もう一度この質問をします。ここで「病気が無い」状態からみなさんが本当の意味での「健康」になるために私たちのお手伝いが始まるのです。

私たちは「みんなが幸せになる」という一つの信念をもって医療を行っています。この原則に外れないよう日々の診療を行っているのです。

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